博士は就職できない!?いや、しないというのもアリ!~大学に残れなくても研究者として生き残るフリーランスという戦略~(前編)

博士は就職できないのでしょうか。一面では確かに「しにくい」ということがあるかもしれません。しかし、最近の就職市場では、学生の売り手市場だといわれています。これは影響はわずかですが、しかし博士にもいえることです。実際にやってみるとわかるのですが、職種も給与も気にしなければ、どこにでも就職することができるでしょう。ただ、博士はなまじ刺激的な知識の世界を知っているために、単純な労働では我慢できないように思います。「プライドを捨てて就活すれば…」と頭でわかっていても、自分より研究ができなかった学部生や修士の方が有名な大企業に就職していたりすると、どこかでそうもいかないという思いがあるかもしれません。

 

博士の人生設計で最悪なケース

Rain Ripples

博士の人生設計と聞くと、暗い気持ちになるのは、誰もが同じかもしれません。確かに、IT系や数理的な専門性が必要になる仕事であれば、博士が就職で不利になることはあまりないですが、その他の場合は、まだまだ「博士」という肩書が有利に働くことはないでしょう。いや、不利になることすらあります。なぜなら「博士」というものを知らない大部分の人にとって、「博士」には学部生や修士の方のような、明るさはないからです。それに、すでに上司やマネージャーとして会社の中堅社員として居座っていてもよい年齢にもかかわらず、新人として雇わなければならないからです。

 

「知識をつくる」という創造的な行為が将来の仕事にどう役に立つのかは、すぐに利益を上げたい日本企業には、まだまだ理解できないでしょう。雇ったところで、博士を学部の新卒と同じような、「もったいない」使い方をすることも多いです。

 

でも、それでも仕事をしなければならないですよね、大学に残ることができなければ。さてここで、博士の人生設計について、最悪のケースを考えてみましょう。それは大学に残れなかったことでも、新卒としてすぐに就職できなかったことでもありません。それは、任期付きの研究職に一度はつけたが、任期が切れた後、それが続かなかったケースです。なぜなら、博士を出たばかりの場合、まだ20代ということが多く、その時就職できなくてもまだまだ可能性がたくさんある一方で、後者の場合は30も半ばということが多いからです。30代で博士号をやっと取れたという人も、その時であればまだ就職しやすいかもしれません。40手前の新人は、かなり就職しにくいでしょう。

 

また、どちらにせよ就職したら、研究は諦めるしかないと覚悟しておいた方がよいでしょう。時間が取れれば運よく研究できますが、週5日で働いた場合、最初は土日で研究できると思うかもしれませんが、365日休みなしで働ける人なんていません。論文を1本書くのに、1日の時間をフルで使って30日かかっていた人は、一ヵ月8日間の休みを利用してだいたい4ヵ月間で論文を書き上げることになるでしょう。4ヵ月休みなしで資料をあさって執筆することは、おそらく無理です。仕事の勉強もあります。実験系の人は、器具がないのでさらに無理でしょう。

 

そんな時、あなたは、「じゃあそれまでの努力はなんだったの?」と思うかもしれません。これまで一生懸命知識をつくってきたのに、その努力が認められず、他の新卒社員と同様に扱われるなんて嫌だと思うのも、不思議なことではありません。ではどうすればよいのでしょうか。それはフリーランスという選択肢をとることなのですが、研究者がフリーランスになる方法に関しては、次のページで紹介していきます。

 

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