「研究を大学から救いだす」
日本の研究者出版は「研究を大学から救いだす」ことを目的としています。この言葉は、少し大げさに聞こえるかもしれません。しかし昨今の大学の現状は、みなさまが思っているよりも悲惨になってきており、もはや大学は研究できる場所ではなくなってきていると感じることがあります。「授業準備や会議などがあって、土日を入れて週三日を研究に割ければ良い方だ」「週15コマ以上授業を担当していて研究できない」といった声を聴くこともあります。大学によっては、研究を積極的にしている方の採用を避けているという話もあります。それではこの国の研究はどうなってしまうのだろうか。この現状を変え、研究者が研究者として生きるために、日本の研究者出版を立ち上げました。
「良い論文を、売れる形で世に送りだす」
研究活動とは「研究をすること」と「論文を書くこと」の二つを意味しています。いくらよい研究をしても、それが論文にならない限り評価されません。研究者が経済的に自立するためには、論文を売るしかないというのが「日本の研究者出版」の結論です。「売れる論文を書けと言うのか!」という声もあるでしょう。しかし、「日本の研究者出版」がお手伝いするのは、売れる論文を書くことではありません。研究者が有意義だと感じて書いた研究成果を、売れる形で世に送り出すことです。
「博士論文出版の現状を変える」
2013年4月以降、博士論文はインターネットでの公開が原則となりました。しかし、博士課程の学生は、通常学費を支払って在籍しているのに、なぜその成果をインターネットで無料で公開しなければならないのでしょうか。また仮に出版する場合でも、100万円に近い金額を支払わなければなりません。成功例のひとつとされる科研費を取得した場合でも、印税を受け取ることができないため、結局はインターネット上の無料公開と変わりありません。そもそも博論を書籍として出版社から出すことの意味とはなんでしょうか。専門の指導教員による査読と出版社による審査であれば、前者の方が圧倒的に価値があるのは間違いありません。「日本の研究者出版」は、あなたが何年も費やしてつらい研究生活を送るほど「面白い」と感じた、その思いを伝える努力をし、研究者が経済的に自立できる世界を目指します。
「世界を変える」
しかし、確かに博士論文は、それだけでは専門的すぎて社会に受け入れられにくいというのは事実です。これは博士論文に興味をもつ「読者」を、われわれが作ってこなかったせいだということが言えると考えています。「日本の研究者出版」の仕事は、「博士論文をできるだけ社会に受け入れる形で世に出すこと」、そして「博士論文や学術書を面白いと思う読者を作り出すこと」の二つです。「日本の研究者出版」は、博士論文を読みこなすことができる読者の創造と、それによる知識の伝播が、この国や、ひいては世界の発展に多大な影響を与えると信じています。
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